フランスにおけるブランドプロモーション及びファンネットワーク構築

フランスにおけるブランドプロモーション及びファンネットワーク構築
―長野とフランスをつなぐ―

杉浦 真理子

 フランスにおける長野ブランドの認知拡大と理解促進を図るという目的で、パリで活躍されている長野県出身者および在仏長野ファンのネットワークを構築するというプロジェクトが発足しました。7月の総会で少しお話ししたので、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。
長野サイドでは、「長野県のブランド力向上」を掲げている長野県営業本部のメディア・ブランド発信の担当の方々が、日々活動の窓口を模索しているところでした。そしてお互いのコンセプトが一致し、この度本格的にプロジェクトが動き出しました。県の担当の方は「ただの商品」をPRするのではなく、そこにまつわる歴史や文化や伝統を伝えていきたいとおっしゃっています。
そして10月2日、長野県庁においてキックオフ会議が行われました。フランスからは、分子ガストロノミー研究の最前線に立つラファエル・オモンさんと、プロジェクトリーダーの熊井淳さん(安曇野市出身)が来日されました。
長野日仏協会からは吉田会長はじめ9名が出席。オモンさんが長野県の食材に興味を持たれているので、協会会員のシェフやパティシエにもお声がけしたところ、「レストラン・シェマサ」の鶴田シェフ、「パティスリ・トレゾア」の竹内さん、「パティスリ・ヴァンセット」の水野さんがご参加くださいました。
分子ガストロノミー(cuisine moléculaire)とは、「調理の過程で食材が変化する仕組みを分析して解明し、化学的観点から調理法、味覚、風味、食感などを形式化する」もので、食材を構成する分子解析によって、料理の可能性がより広まるとのこと。
例えば、チョコレートには400の分子があり、それぞれの特徴を分析すると無限の組み合わせが生まれるとオモンさんはおっしゃっています。今パリで注目されているショコラティエ「Les trois chocolats paris」(世界的ショコラコンクールClub des Croqueurs de Chocolatsで、インスピレーションアワード賞を受賞)では、長野県産わさびと味噌を使って新たなレシピを考案し、10月末にパリで開催された「サロン・デュ・ショコラ」に出展したそうです。
長野からは、リアルな長野を在仏長野ファンの方に知っていただくために、県のインスタグラムをツールにした情報発信が開始しました。(アカウントとQRコードを掲載したので、ぜひご覧ください)
今まさに始まったばかりのプロジェクトですが、長野とフランスをつなぐ今後の動きがとても楽しみです。コロナ禍で停滞していた「日仏交流」が、一気に動き出した感があります。長野日仏協会が25年前の発足当時に掲げた会則に「長野県とフランス、ならびにフランス語圏諸国との交流を促進する事業を支援する」の一文がありますが、このプロジェクトはまさにこれに一致すると思います。
これを機に長野に魅力を感じるフランス人が増え、たくさんの方をお迎えできますように!