ノエルの会 ―ビストロ瀬田亭コツナで日仏融合料理を堪能する―
会長 吉田 正明
12月7日(土)、曇天の寒空の下、24名の美食家たちが恒例のノエルの会に「ビストロ瀬田亭コツナ」に参集した。シェフの瀬田金行氏はミシュラン三ツ星シェフのジョルジュ・ブランの店で修業され、スペインやベルギーの日本大使公邸料理人として活躍された後、西宮、ついで世田谷に「レストラン瀬田亭」を開業、そして2017年に松本市北深志に当店をオープンした名シェフである。氏が追及するのは、伝統的フランス料理に使われるバターや生クリームといった高カロリーのソースをベースにしたこってりとした料理ではなく、味噌や醤油などの日本古来の発酵食品をソースや料理に巧みに絡めた日仏融合料理cuisine franco-japonaiseに他ならない。体にやさしく健康にも優れた新しいコンセプトの美味なるフレンチなのである。
われら長野日仏協会のchevaliers de la table ronde(円卓の騎士たち=美食と美酒をこよなく愛する人の意)は、瀬田シェフが繰り出すまるで魔法のような料理の数々に目を見張ると同時に味蕾を堪能させた次第。エスカルゴの味噌仕立てのひとくちオードブルにはじまり、瀬田亭伝説の逸品レムドレソース(材料:マスタード、酢、醤油、サラダ油)を絡めたサーモンのテリーヌ、自家製ブイヤベースと続き、最後に出された料理は和牛ほほ肉煮込み、どの一品をとってもC’est délicieux !と舌鼓が聞こえてきそうな逸品ぞろい。締め括りは洋ナシのソルベと食後のコーヒーあるいは紅茶。かような美味なる料理には、やはりそれに見合う葡萄酒が必須。そこで当方が中島酒店で調達したのが、アルザスの白2本(ペリエール・ソーヴィニョン・ブラン、フレイツ・ピノグリレゼルヴ)赤2本(ロワールのピノノワール、ローヌのアフィラント・キュヴェ・V)。おそらくこの上ないマリアージュだったに違いない。ただ残念だったのは、参加者の半数は、車の運転あるいは体調の問題で葡萄酒を味わえなかったことであろうか。当方もそのひとりであったけど。かくして今年のノエル会はグルメの集いとなったのである。