信州大学国際シンポジウム2008 [2008.10.11~12]

信州大学国際シンポジウム2008報告 吉田正明

 

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 信州大学国際シンポジウム2008「新たな信州とフランス語圏の文化交流~歴史をさかのぼり未来に向けて~」が昨年10月11日(土)に開催され、後援した当協会も滝澤会長やマブソン・ローラン副会長が講演者、あるいはパネラーとして深く係わり、100名以上の参加者を得て盛会の裡に幕を閉じた。当日の午前中は、フランスとベルギーから招聘した3名の先生方(ラ・ロッシェル大学のYvan Daniel先生,INALCOのPascal Griolet先生、カトリック大学ルーヴェンのDimitri Vanoverbeke先生)にそれぞれの大学、あるいは研究院の様子を紹介していただき、来場者、とくに信大の学生にとってはたいへん有意義で興味深い話を聞くことができた。

お昼の懇親会は、アルプスを眺望できる6階会議室に於いて、デリカテッセン・マルクさんの美味しいオードヴルに、五一ワインさんが提供してくださった数種類の赤、白ワインを味わいながらゲストと来場者とが楽しい懇談のひとときを過ごした。高価な貴腐ワインも提供され、午後からの本番のシンポジウムのことをつい忘れそうになるくらい美酒にほろ酔い気分となった人もいたようだった。

午後の部はまずお二人の基調講演で幕を開けた。それぞれのお話は今回のシンポジウムのテーマに深く係るものであった。まず当協会の滝澤会長が「信州とフランス」という題で、過去の信州とフランスとの交流史において重要な足跡を残した人物や事柄について講演され、続いてラ・ロッシェル大学から来られたイヴァン・ダニエル先生が、「クローデルと日本」と題してフランス語で講演された。マブソンさんの名通訳もあり、それぞれの講演に対して会場の数名の来場者から質問があり、関心の高さをうかがわせた。

途中休憩をはさみ第2部では、5名のパネラーによるパネルディスカッション「日仏交流の過去、現在、未来~信州とフランスの交流史と今後の展望」が行われた。最初にそれぞれのパネラーから各自のテーマで10分程度の話題提供がなされた。滝澤会長は美術家たちの交流について、長野大学の佐々木涇(とおる)先生は島崎藤村、辻邦夫とフランスとの関わりについて、マブソン・ローラン副会長は小林一茶を中心に俳句を通じての日仏交流史について、ディミトリ・ヴァンオーヴェルベケ先生は19世紀のベルギー憲法と明治憲法の関係を通して見たベルギーと日本との交流史について、そしてパスカル・グリオレ先生は日本における教育制度の近代化に重要な役割を果たした松本出身の辻新次をはじめ日本語の近代化に尽くした信州人の紹介をされた。それぞれ興味深い話題であった。その後質疑応答があり、来場者からもたくさんの質問があり,活発なパネルディスカッションが展開された。

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パネルディスカッション

 二日目の12日(日)は「信州,フランス発見の旅」としてバスツアーを行い、蓼科のマリー・ローランサン美術館を見学し、ホテルのレストラン「ラ・クレリエール」で和気あいあいすっかり打ち解けた雰囲気のもと、楽しい昼食のひとときを味わうことができた。午後は大王わさび園を散策し、好天にも恵まれ美しい安曇野の秋を心行くまで満喫した次第である。かくして信州とフランス語圏の交流をテーマとした本国際シンポジウムは成功裡に終了したのである。

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懇親会